30代事務職の欧州MBA挑戦記録

受験対策からバルセロナ生活等

ESADE進学理由・入学後所感

MBAは究極的には雰囲気で決めていいと思っている。その見解に関しては、noteに徒然記載したのでそちらをご参照(https://note.com/tokyokaigai/n/n4bf9c56163d3)。

ただ、私自身がESADEに進学を決めたのは、受験上の戦略だけでなく、ここでMBAを学びたいと真剣に思いいたったからであることは間違いなく、ESADEの進学理由とまた入学後の所感を参考までに記載します。

 

1.自主性の尊重

ESADEのプログラムは本人の希望・興味によって、選択出来る幅が他校より広いと感じている。ハーバード式のケース漬けとは違い、チーム課題を重視し、実践的なプログラムも多く取り入れていることも関連している。

まず、プログラムの長さも本人の希望によって、12か月・15か月・18か月と選べる。9月入学から翌年の6月までの約10か月の間に必修科目は終了するため、その後は全て選択科目となる。これは学生にとって非常に好都合で、自主性をもってキャリアを構築しやすくなる。

Term 1はさすがに課題も多く授業のみに集中する必要があったが、Term 2以降は(慣れもあるだろうが)比較的余裕があり、授業に加えて各生徒其々の興味がある分野を追及していた。例えば、Case Competition、Club活動、就職活動、起業準備などである。

また、Term 4以降は、交換留学かCBIプログラムも選択可能となっている。交換留学先の選択肢はUSトップスクールも多く含まれており、魅力的であった。CBIプログラムは、技術系・デザイン系の学生とチームを組み、3か月集中して社会的問題の解決に取り組むというもの。各自の興味・キャリアの方向性に合わせて、色々プログラムを選択出来るようになっている。

逆に言うと、MBAの授業以外に興味が無い生徒にとっては、手持無沙汰になる可能性もある。好奇心が強く、自分でスケジュールをコントロールしたい人には向いているが、そうじゃない生徒は若干消化不良そうな印象を受けた。

 

2.多様性の尊重

欧州MBAの特徴の一つであり、ESADEも多様性に基づいたCollaborationを推進している。スペインがゆえに、ラテンアメリカ系(の富裕層)の比重が多いのは当然の結果であるが、国に偏りが無いように学校が相当配慮しているのが伺える。

私の居るClass of 2021は、95%が留学生であり、スペイン含め47か国の生徒が集まっている。且つ、女性が全体の39%を占めており、男女の取り扱いに全く差は無いと感じている。

全員が、いちビジネスパーソンとして発言が重視され、多様な英語が前提とされる。

勿論、英語を流暢に話せた方が発言はしやすいが、ネイティブだからといって理路整然と発言出来るかは別だと学んだ。関係ない前提をダラダラ喋るよりは、文法がちょっとくらい間違っていても、端的に要点を述べる方が尊敬される。

文化の勢いの影響もあり(?)欧州勢よりラテン感が色濃かったな、と思こともあるが、大体は期待した通りのインターナショナルスクール生活をおくることが出来た。

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(ESADE公式Websiteより引用)

3.費用対効果

米国MBAは高すぎるというのが私の所感。それは、2年間という長期間が通常なことに加えて、物価もしかり。特にスペインという国は、実力に対して物価指数は低すぎないか?と思うけど、生活費の安さは本当に助かっている。そのおかげで、授業以外の活動や交際費・旅行などにもお金がかけられている。

特にESADEは前述の通り、授業以外の活動も肝になってくるため、金銭的に余裕がある方が機会を最大化できる。例えば、Case Competitionも参加費用が掛かる。ものによっては学校が補助してくれるが、そうでないものや最終プレゼンに出席するための旅費が出ない場合が殆どだ。

そもそも、私自身がMBAの内容自体はそんなに学校によって差が凄くは出ない、というスタンスなので、なるべく短期間で安くというのは一つのポリシーだった。それに加えて、ある程度の自由を持つためにも、あまり授業料・生活費だけでぎりぎりにならない方が個人的に好ましかった。

 

入学してから気づいたこと

私自身は授業に大きくこだわりは無かったものの、振り返ればESADEの教授陣の強みは、アントレとマーケティングだった。

そもそもESADEはスペインの由緒正しい学校の為、学部生(BBA)と修士生(MSc)の評判が非常に高い。MBAも歴史自体は古いのだが、全て英語対応とし始めたのは2012年から。そのため、MScで評判が高いInnovationやMarketingの分野は学校としても相当力を入れていると感じた。

アントレは、教授自体はちょっと自由スタイルすぎてw体系だって学ぶ感じではなかったものの、実際に起業したくてIdeaを持っている学生にとっては授業を受けながらそのIdeaを発展・実現させられるような内容だと感じた。その道の第一人者から具体的な助言をその場で貰うには抜群の機会だと言える。

マーケティングは、各教授は実績もあり、体系だった論理的な内容に加えて、生徒と教授の議論も大いに盛り上がる場面も多かった。元々バックグラウンドが私に無いから学びが大いにあったという点もあるが、他同期と話していてもマーケティングの授業への満足度は高く感じた。

 

ちょっとがっかりしたこと

ファイナンス・テック分野は個人的にはいまいち、、だった。

ファイナンスの教授は分かりやすく、会計・財務の経験が全く無い学生にとっては丁度良かったと思うが、個人的に内容は薄かった。授業よりもPEのCase Competitionを通して、直接教授に指示を仰いだり、同級生から学ぶことが多かった。また、この部分は交換留学先で補完出来ればと考えている。

テックは、正直ESADEはもっと頑張れるし、多分ここで他校ともっと差別化を図るべきだ。教授陣もその分野では知識があり活躍されているっぽかったが、教えることが下手な人が多かった…TableauやBig Data等の入門が出来たのは良かったが、あの時間もっとうまく使えば、もっとそれらのソフトも使えるようになったのでは?と思う。他例えば、Digital Transformationについても関連するケースは与えられたし、その内容は非常に面白かったが、自分の血肉になったとはどうしても思えない教え方だった。デジタル人材への需要は今後、MBAを多数受け入れている多国籍企業に留まらず確実に増えるし、折角のStart-upや良質なEngineerを沢山抱えるバルセロナだからこその、実践的な授業を今後はもっともっと導入して欲しい。